本好き オティーリエ。 #二次創作 正しい心配の仕方

本好きの下剋上

本好き オティーリエ

本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜(第1部)の基本情報 放送日 2019年12月26日 話数 14話 監督 本郷みつる 脚本 國澤真理子 放送局 WOWOWプライム、ABC、BSフジほか 原作 香月美夜 制作 亜細亜堂 声優• エーファ• オットー• ギュンター• デリア• トゥーリ• フェルディナンド• フラン• フリーダ• ベンノ• マイン• マルク• ルッツ• ロジーナ• ヴィルマ• もっと多くの本を読みたかった、そんな未練を抱いた彼女は気が付くと異世界の幼女マインとしての体を持っていた。 物語の主な舞台となるのは、魔法の力を持つ貴族に支配される中世然とした異世界の都市エーレンフェスト。 厳格な身分制度の中、現代日本の知識を持つ少女マインが、本を手に入れるために出世していく。 第一部では、平民の娘マインが幼馴染の少年ルッツと紙を発明した後、神官長フェルディナンドと出会い巫女見習いとなるまでが語られる。 マインはこの世界で意識を持ってから大好きな本を探すが、紙がなく、羊皮紙による本も高価であることを知り、本作りを志す。 マインは病弱で家族も貧しかったため、紙を作るための材料集めにも不自由する。 最初は現代知識による簡単な発明で身の周りの改善しかできなかったが、ルッツがマインの発明に興味を持ち協力してもらえるようになった。 大商人ベンノは平民にありえないほどの身綺麗さと、年齢不相応の知識を持つマインに特異性を見出し、マインとルッツの工房に出資し、商人見習いとして教育する。 以後、ベンノは二人のために親身でありつづける。 紙は完成したが、マインは自身が身食いと呼ばれる不治の病であることを知ってしまう。 身食いは、体内に魔力が限界を超えて蓄積される病気で、その多くは短命で亡くなるか、魔力を必要とする貴族に服従を強要される。 マインは高い魔力が評価されて、魔力を放出できる神殿の巫女となることが許可される。 第一部の終わりでは、神殿長にマインの身柄を召し上げられそうになるが、マインの家族が命をかけて抗議し、自由な身を保証される。 第二部では、神官長フェルディナンドに庇護され神殿で貴族のように遇されるマインが、印刷技術を開発して本作りの集団グーテンベルクを結成したことと、愛する家族を陰謀から守るために絶縁して領主の養女となったことが語られる。 マインが入った神殿は、貴族の血筋の青色神官/巫女と、孤児出身で青色に仕える灰色神官/巫女による身分社会だった。 平民でありながら青色巫女見習いとなったマインは神殿内部や貴族から敵意を受けるが、マインの能力を認める神官長フェルディナンドに擁護される。 マインは工房長として印刷技術の確立に動き、また、高い魔力を大勢に示したことで、その能力・知識を独占しようとマインを拉致する企みもあった。 フェルディナンドはマインの身を案じて貴族との養子縁組を斡旋する。 しかし、前世での母との薄い関係を悔いたために今世での家族を大切に思うマインにとって、養子縁組は受け入れがたい選択だった。 マインの周囲の大人は、マインを守るために協力するが防ぎきれず、貴族の害意は家族にも向けられる。 第二部の終わりでは、印刷技術の革新性を理解した領主ジルヴェスターが、マインに偽造された身分を与えた上に自身の養女とすることで、マインとその家族の安全を守る。 そのためにマインは愛する家族との絶縁を余儀なくされる。 第三部でマインは、貴族としての偽の身分とローゼマインの名が与えられ、領主の養女になる。 神殿長を務め、印刷業やレストランを経営する傍ら領主家族とのふれあいや問題に向き合っていく。 また、虚弱体質を治せる魔法薬ユレーヴェを知り、素材を求めて冒険する。 最後には陰謀で命を落としかけ、二年の眠りにつくまでが語られる。 フェルディナンドの診察により幼少時にマインが一度死んだことが明かされ、それによる魔力の塊を治すために特殊な魔法薬ユレーヴェが必要だと知らされる。 素材を採取する一方で、神殿長として仕事をするも前神殿長が残した問題と向き合っていく。 兄ヴィルフリートに絡まれ一日入れ替わることを提案しヴィルフリートはローゼマインが神殿長、孤児院長、工房長の仕事を平然とこなすことに驚き、ローゼマインはヴィルフリートがかなり甘やかされてきたことに驚き、それを改善させようと躍起になる。 冬になり貴族の子供が集まる子供部屋で聖書をかみ砕いた内容の絵本やかるたによる反応は上々で購入する貴族がいる中、購入できない貴族にはローゼマインが知らない物語を提供することで貸し出されることが決まり喜ぶ子供がいたことに安堵する。 春になり前神殿長の姪かつ領主の姉ゲオルギーネの来訪で領主夫婦に緊張が走るも問題は起こらず過ぎ去って行く。 秋の素材採取でダームエルに教授した魔力圧縮がエーレンフェストに必要だと領主の口から語られ、魔法薬の製作を優先することを条件に教授すると、大人でも有効であると太鼓判を押される。 妹のシャルロッテとお茶をしていると飛び込んできたヴィルフリートに中断されひと騒動となる。 シャルロッテの洗礼式にシャルロッテが誘拐されかけるもローゼマインが体を張り救出する。 しかし、毒薬を飲まされ生死の境を彷徨う。 フェルディナンドはマインを魔法薬ユレーヴェに浸らせ治癒のための眠りにつかせる。 第四部では、貴族院へ進学したローゼマインが図書館の魔術具を再生し図書委員を自称したこと、派閥の対立を越えて領地の生徒たちを協力させ敵対派閥の子供たちから信用を得たこと、他領地の貴族や王族と交流を持ったこと、また、王の権力の源泉である聖典グルトリスハイトが失われており新たな政治紛争が起きうることや領地間の対立などが語られる。 フェルディナンドはローゼマインとの家族としての強い絆を得ていたが、第四部の結末では対立する領地アーレンスバッハへ婿入りせよとの王命が下り、二人は離れ離れとなる。 毒薬を飲まされ目覚めなかった二年間で成長した兄ヴィルフリートと妹シャルロッテに戸惑いを感じながらも貴族院へ入院するための教育が施され、無事に入院するも王族や他領の領主候補生に嫌味を言われてしまう。 図書館へ早く行きたいローゼマインにヴィルフリートの提案で初日の講義で全員合格を目指すこととなった新一年生。 努力の甲斐もあり初日全員合格をもぎ取り図書館に入ったローゼマインは喜びのあまり多大な祝福を振りまき王族専用の魔道具シュバルツとヴァイスの主となるも、王族から奪ったと言いがかりをつけられ他領と問題を起こしてしまう。 帰還命令が出されエーレンフェストへ戻るローゼマインを待っていたのは養父とフェルディナンドのお説教と尋問だった。 神殿へと戻り神殿長としての仕事をこなす傍ら、印刷業の仕事を本格的に始めるため様々な事をオティーリエと相談する。 貴族院へと戻り王族と他領とのお茶会をこなし一年目が終わりローゼマイン式魔力圧縮の講座を終え、祈念式を各地で行う中、聖典の通りに行うことで今以上の効果を発揮することが判明する。 二年目の貴族院でもローゼマインはシュタープを神器へと変化させ、回復薬の調合と優秀な成績を収め昨年同様、初日全員合格の快挙を達成する。 魔石採取の途中、魔獣に襲われ退治するも採取場所が荒れていることに気付き再生の儀式を行ったローゼマインに帰還命令が下される。 養父から祈念式で行った儀式が聖典とどう違うのか調べるよう命令される中、採取場所で行ったことを聞くため呼び出され聖典の問題にまで発展する。 王命でフェルディナンドがアーレンスバッハのディートリンデに嫁ぐよう下されエーレンフェスト内は困惑する。 そんな中、エーレンフェストの神殿からローゼマインとフェルディナンドを恨む貴族一派により聖典が盗み出されてしまう。 第五部では、フェルディナンドがいなくなった状態で奮闘するローゼマインの姿が語られる。 粛清が前倒しになり、貴族院では旧ヴェローニカ派の子供たちが名捧げを強要されることになる。 神々のご加護を受ける実習でエーレンフェストの学生が多数の神々のご加護を受けたことで、神事の重要性が見直されることになる。 そこでダンケルフェルガーと共同研究を行うことになるが、レスティラウトと諍いになりローゼマインと婚約を賭けてダンケルフェルガーと嫁取りディッターを行うことになる。 卒業時の奉納舞で起こったアクシデントにより、ディートリンデが次期ツェント候補であると中央神殿が発表してしまう。 エーレンフェストに戻ったローゼマインに待ち受けていたものは、上位領地としての地位や立場についていけない領内の貴族の大人たちの姿だった。 王族の要請により貴族院の図書館の古い資料を調べているうちに、ローゼマインこそが最も次期ツェントに近い存在であることが判明し、ジギスヴァルト王子との婚約を強要される。 交渉の末、1年の猶予を勝ち取ったローゼマインたちはその間に領内改革を進め引き継ぎを終える。 4年生の貴族院で神事を行いローゼマインはエアヴェルミーンからグルトリスハイトを授かるが、同時にフェルディナンドを殺せと命じられる。 エーレンフェストに戻ったローゼマインは領内の貴族とともにアーレンスバッハからの侵攻に備える。 ディードリンデがフェルディナンドに毒を盛った上でランツェナーヴェと組んで中央に侵攻し、同時にゲオルギーネがエーレンフェストへの侵攻を開始したことを知ったローゼマインは、フェルディナンドを救出するためにダンケルフェルガーの協力を取り付けてアーレンスバッハに逆侵攻をかける。 本が大好きな女子大生・本須麗乃は本に埋もれて亡くなり、気がつくと別の世界で、病弱な少女・マインとして転生していた。 本があれば、どんな環境でも耐えられると思ったマイン。 さっそく本がないか家中を探し回るが、どこにも本が見つからない。 さらに母親のエーファと一緒に街へ出ても、文字すらなかなか見かけることができない。 第2話 『生活改善と石板』• 本が貴重なこの世界で、マインは自ら本を作ろうと決意する。 だが、体が弱いマイン。 姉のトゥーリと一緒に、父親・ギュンターの忘れ物を届けるため門へ行こうとするが、少し歩いただけで息が上がってしまう。 そんなマインの前に、ルッツが現れる。 マインと同い年のご近所さんだ。 転んだマインに手を差し伸べてくれるルッツにマインは感激する。 そして、門へ着いたマインはそこで古い石板をもらい、字を書ける喜びをかみしめる。 第3話 『冬のできごと』• 雪に閉ざされる中、マインは本作りの第一歩としてパピルスもどきを作ることに。 一方、姉のトゥーリは夏に洗礼式を控え、母・エーファから様々な仕事を教わっていた。 マインも見習い仕事について考えるよう言われるが、相変わらず本のことしか頭にない。 そんなマインと家族との距離は冬を過ごす間に徐々に縮まっていき、マインはトゥーリの洗礼式のためにある物をプレゼントしたいと思いつく。 第4話 『初めての森と粘土板』• 春になり、家族に森へ行きたいと言うマイン。 だが、体力がないからと反対されてしまう。 しばらく門へ通い、皆に遅れずに歩けるようになれば、森へ行っても良いと言うのだ。 オットーの書類仕事を手伝うことになったマインは、門へ通いながら体力をつけることに。 そして、次第に歩けるようになり、ついに森へ行くことを許されたマイン。 さっそく森で、粘土板を作ろうとするのだが、、、、、、。 第5話 『洗礼式と不思議な熱』• 季節は夏に移り、トゥーリの洗礼式の日がやって来た。 マインが作った髪飾りをつけ、注目を集めるトゥーリ。 そして森へ行く機会が増えたマインは、ルッツに手伝ってもらいながら木簡作りを始める。 そんな中、マインはルッツに、オットーに会わせてほしいと頼まれた。 ルッツには、旅商人になりたいという夢があったのだ。 だが、度重なる紙作りの失敗にショックを受けたマインは、オットーとの会合を前に高熱で倒れてしまうのだった。 ルッツをオットーに紹介することになったマイン。 だが、それはただの会合ではなく、見習い先を紹介してもらうという意味を持っていた。 身なりを整え、緊張しつつ会合に臨むマインとルッツ。 そんな二人の前に、オットーとベンノが現れる。 オットーの旅商人時代の知り合いだというベンノは、値踏みするように二人を見、ルッツに商人になって何を売りたいかを聞く。 果たして二人の答えは、、、、、、。 第7話 『不信感の芽生え』• いよいよ紙作りをすることになり、わくわくするマイン。 そんなマインとルッツに、ベンノから呼び出しがかかる。 紙作りに必要な材料を、ベンノが調達してくれると言うのだ。 マインは、材料の担保や今後の援助についてベンノと交渉。 そして不思議なインクを使い、契約魔術を結ぶ。 だがその帰り道、いつもは快活なルッツの態度がよそよそしいことが気になるマイン。 ルッツは、ベンノと平気で難しい話をするマインに違和感を覚えていた。 第8話 『ルッツのマイン』• 本格的に紙作りの作業が始まった。 マインとルッツは作業用の倉庫を借り、必要な道具を揃えていく。 さらに二人は森へ行き、木の枝を蒸して紙を作ることに。 だが、慣れた様子で紙作りを進めていくマインに、ルッツはさらに違和感を募らせる。 紙ができたら話をしたいと言うルッツ。 そして最初の紙が完成した時、ルッツはマインに、これまでの疑念をぶつけるのだった。 第9話 『ギルド長の孫娘』• ベンノに連れられて商業ギルドへ行ったマインたちは、そこでギルド長に会うことになった。 マインが作っているという髪飾りを見て、驚くギルド長。 それは、ギルド長の孫娘・フリーダが欲しがり、ずっと探していた髪飾りだったのだ。 ギルド長から、フリーダの髪飾りを作るよう依頼されたマインは、フリーダに会いに行くことに。 フリーダは、可憐で可愛らしい少女だったのだが、、、、、、。 第10話 『二度目の冬に向けて』• すっかりフリーダに気に入られたマイン。 フリーダの話から、マインは身食いという病気だったことが分かる。 治すためには、多額のお金がかかるらしい。 そのことに気づいていたベンノは、商品についてのマインの情報を買ってくれる。 さらに髪飾りの注文を受け、新しい商品のアイデアも次々と考えていくマイン。 だが、そんな最中にも身食いの熱はマインを蝕んでいき、、、、、、。 気がつくと、マインはフリーダの家にいた。 フリーダの持っていた壊れかけの魔術具のおかげで、マインは命を取りとめたのだ。 だがフリーダは、これで身食いを治せたわけではないと言う。 この先、魔術具を持つ貴族と契約して貴族に飼い殺されて生きるか、このまま家族の元で朽ち果てるか、二つに一つを選ばなければならない。 マインに残された時間は、あと一年。 しかし、マインは家族に本当のことをなかなか話せずにいた。 第12話 『洗礼式と神の楽園』• それぞれの進む道が決まったマインとルッツ。 そして、二人の洗礼式の日がやってきた。 初めて神殿に入ったマインは、神殿長が読む聖典に目を奪われる。 その洗礼式の最中、ひょんなことからマインは神殿の中で迷子になり、偶然、図書室を見つける。 転生してからはじめて目にする図書室に感激するマイン。 しかし、中に入ろうとしても入れない。 図書室には神殿関係者しか入れないのだ。 その話を聞いたマインは、、、、、、。 第13話 『巫女見習いという選択肢』• 神殿の巫女見習いになりたいと言うマインに、激怒するギュンター。 神官や巫女見習いは孤児がなるもの。 しかも神殿に住み込みで、きつい仕事をしなければならないらしい。 マインは、巫女見習いになるのを諦めることにする。 そして再び神殿へやって来たマインは、神殿長と神官長のフェルディナンドに、巫女見習いの話を断ろうとするが、、、、、、。 そこで思わぬことが起こってしまう。 第14話 『決着』• 神殿に呼び出されるマインと両親。 交渉次第では、貴族に近い扱いの青色巫女見習いになれるかもしれないと聞き、ギュンターはマインを守る覚悟を決める。 そして、交渉の日。 神殿長は、マインの両親の貧しい身なりを見たとたん、これまでの温和な態度を一変。 両親の言葉には聞く耳をもたず、マインを差し出すよう命じる。 断固として断るギュンター。 そんなギュンターに神殿長が牙を剥く! 第15話 『神殿の巫女見習い』• いよいよ神殿の巫女見習いになることになったマイン。 神殿に入るまでの間、これまでの ことをベンノに報告したり、カトルカールの試食会をしたりと、慌ただしく過ごす。 そし て、マインが神殿へ行く日がやって来た。 フェルディナンドによって誓いの儀式が行われ、 青色巫女見習いとして認められるマイン。 そして、これからマインの身辺の世話をすると いう側仕えたちを紹介されるのだが、、、、、、。 神殿での生活が始まった。 新しい仕事を覚えていくマインだが、側仕えたちはマインに反抗的な態度を取る。 中でもフェルディナンドの側仕えだったフランは、貴族らしさの欠片もないマインに仕えることに不満を持っていた。 一方、マインも側仕えが信用できず、ちっとも神殿に馴染もうとしない。 そんな中、寄付金を納めることになったマインはベンノを伴い神官長の元へと赴くことになった。 第17話 『与えるべきもの』• フランの信頼を勝ち取ったマイン。 しかし、ギルとデリアはまだマインを主と認めない。 「与えるべきもの」を与えていないからだ。 神殿では主が側仕えの衣食住を保証するのだ。 マインは、麗乃時代とも下町とも異なる神殿での常識に戸惑いながらもギルに食事を与えるためにはどうすれば良いかを考える。 一方、自分たちに歩み寄ろうとするマインの姿に、ギルとデリアの心も揺れて、、、、、、。 第18話 『孤児院の大改革』• 孤児院に案内してもらったマインは、飢えた幼い子供たちを見てショックで倒れてしまう。 なんとか子供たちを救えないかとフェルディナンドに相談するが、孤児たちに対して責任を負えるのかと問われ、答えることが出来ない。 しかし、飢えた子供たちの姿が頭から離れないマイン。 大好きな読書も手につかなくなってしまう。 そんな中、ルッツの一言からマインは孤児を救う方法があるかもしれない、と希望を見出す。 第19話 『大掃除と星祭り』• 孤児院長に就任したマインは、手始めに孤児院の大掃除をすることに。 さらに採集の仕方やスープ作りを教え、孤児院の環境を改善する。 働けば報われることを知った子供たちは、率先してマインのために動くようになり、マインは子供たちから慕われる。 そして季節は夏になり、子供たちにも星祭りを体験させたいと思うマイン。 フェルディナンドの許可を得て、孤児院の庭でタウの実をぶつけ合うが、そこで不思議なことが起きる。 第20話 『ルッツの行く道』• ルッツが家出してしまった。 ルッツが商人になることに反対していた父のディードと言い争いになり、飛び出してしまったらしい。 一方、ベンノはルッツを養子にすると言い出し、ルッツの家族と険悪になる。 どうすればいいのかと悩むマイン。 フェルディナンドは双方の話を聞くようにと助言する。 親身になってくれるフェルディナンドが意外なマイン。 こうして、神殿でルッツの家族会議が行われることになる。

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本好き オティーリエ

わたしはアウブの執務室を出て、コルネリウス兄様とハルトムートとリーゼレータの三人と合流する。 お嬢様らしく優雅に素早く歩くのはまだ少々心許ないので、騎獣を出して乗り込んだ。 「ハルトムート、今から騎士達をわたくしの部屋に集めてください」 「アーレンスバッハへ侵攻するための話し合いでしょう? すでに集まるように声をかけています。 何を置いても急ぐようにと伝えたので、神殿に残してきた者もそろそろ集まる頃合いでしょう。 ローデリヒとフィリーネには現状維持で残ってもらっています」 涼しい顔でさらりと言われたことに驚いて、わたしは思わずハルトムートを二度見した。 「……た、大変結構です」 「ローゼマイン様のお役に立てて何よりです」 ハルトムートの言葉通り、自室に戻ると護衛騎士が集まって待っていた。 わたしはくるりと皆を見回す。 神殿の守りを任されていたはずの騎士達はよほど急かされたのか、まだ息が整っていないように見える。 「あの、ローゼマイン様。 ハルトムートから緊急の用と伺いましたが……」 「本当に緊急で唐突なのですが、今夜、アーレンスバッハの礎を盗りに行きます」 「……はい?」 午前と午後でかなり状況が変わってしまったのだ。 これはわたしにも予測できなかったことだから仕方がないと思う。 会議に出ていなかったため全く現状を知らない側近達に、フェルディナンドの現状、エーレンフェストへの侵攻の可能性、アーレンスバッハへ向かうこと、ダンケルフェルガーの助力があること、ユストクス達が合流することなどをざっと説明した。 緊急事態ということが嫌でも伝わるのだろう。 皆の顔が緊張に強張っていくのがわかる。 わたしはそんな皆に指示を出し始めた。 出発まで本当に時間がない。 「まず、側仕えの配置ですが……。 リーゼレータとグレーティアは図書館へ移動、城に残るのはオティーリエとベルティルデの二人です。 オティーリエ達は最初にわたくしの騎獣用の衣装や靴、この部屋にある魔石や魔術具等を準備してください。 それから、この後は図書館で夕食や仮眠をとる予定なので専属料理人を移動させる手配もお願いします」 「ローゼマイン様、何人が図書館で夕食を摂るのでしょう? 食料品に関しても手配が必要だと思われますが?」 オティーリエの言葉にわたしが側近達を見回して数え始めると、リーゼレータがそれを制した。 「オティーリエ、城の分をできるだけ移動させてくださいませ。 足りなければわたくしからエルヴィーラ様に連絡を入れます。 エックハルト様がお戻りだそうなので、ご協力いただけるでしょう」 オティーリエとリーゼレータの間でさっさと仕事の分担が決まっていく。 「わたくし達が出発した後、城に残る二人はゲオルギーネ様の侵略に備えて情報収集を怠らず、養母様、シャルロッテ、ブリュンヒルデと連携を取ってください」 「かしこまりました」 オティーリエは「本当に急ですね」と微笑みながら動き始めたけれど、わたしの無茶ぶりに全く慣れていないベルティルデは目を白黒させながらオティーリエの後について行く。 「では、ローゼマイン様。 わたくしとグレーティアは図書館へ移動してラザファムと共に受け入れ準備をすればよろしいでしょうか?」 「えぇ。 リーゼレータは察しが良いですね。 エックハルト兄様とユストクスにも夕食と仮眠をとってもらいますから、よろしくお願いします」 「かしこまりました。 時間がないので、お先に失礼いたしますが、図書館へ移動する際は護衛騎士を必ずお連れくださいませ」 リーゼレータは「次々と側近達に命令を下し、最終的に一人で動き回るようなことはいけませんよ」とわたしに注意すると、グレーティアを連れて退室していく。 「ハルトムートとクラリッサは図書館でこれまでに作った魔術具や回復薬などを皆に配布し、その後は……」 「出陣の準備は整っています。 ご安心ください。 配布が終われば、ハルトムートと交代で仮眠します」 クラリッサが張り切ってそう言った。 ダンケルフェルガー出身の武よりの文官であるクラリッサはともかく、ハルトムートが当たり前のように出陣のメンバーに入っていることにわたしは驚き、ハルトムートを見つめる。 「騎獣に大量に積み込んだ魔術具や薬の管理をローゼマイン様が行うのは難しいでしょう。 ダンケルフェルガーに配るのでしたら尚更です。 ローゼマイン様が救出に集中できるように私も連れていってください」 「……ハルトムートの申し出は助かりますが、喜々として文官が行くところではないと思うのですけれど」 ディッターの経験がないのに大丈夫なのだろうか、とわたしが腕組みをして首を傾げると、ハルトムートはクッと小さく笑った。 「おや、領主候補生であり、文官であるローゼマイン様のお言葉とは思えませんね」 「うぐぅ……。 今回は速さを重視するのですから、遅いと放っていきますからね!」 反論できない悔しさにそう言うと、ハルトムートは余裕の笑みを浮かべた。 「ローゼマイン様の騎獣に同乗し、魔術具を管理するので問題ありません」 「お任せくださいませ。 ダンケルフェルガーからエーレンフェストまで一気に駆け抜けたわたくしの力を存分に発揮する時ですね」 ……のおおぉぉ! 嫌な実績が! できるならば解毒薬の一つでも増やしたいと言うので、ハルトムートとクラリッサにはもう好きなようにやらせることに決めて図書館へ送り出す。 わたしはアーレンスバッハへ連れていくことになる護衛騎士達を見回した。 「未成年のラウレンツには選択権があります。 わたくしと共に来るか、残るのか、選んでください」 「ローゼマイン様に名を捧げているのですから、今更置いて行くとはおっしゃらないでください」 苦笑気味にラウレンツがそう言うと、対抗心を燃やしたようにユーディットが「わたくしもお留守番は嫌です」と手を挙げた。 「ユーディット、緊急事態だからこそ、お父様の許可が必要です。 許可もなく他領との戦いの場に連れ出すことはできません」 「そんなぁ! うぅっ……。 オルドナンツで許可を得てきます!」 涙目になったユーディットが駆け出していくと、わたしはその場にいる騎士達にローテーションを組むように命じる。 「アーレンスバッハへ赴く騎士達は交代で寮へ行き、夕食と仮眠を取り、準備を整えてください。 エーレンフェストに残す騎士はダームエルだけです」 皆が目を軽く見張ってダームエルを見て、その後、話し合いのために集まる。 わたしは一人残ったダームエルのマントを軽く引っ張り、盗聴防止の魔術具を手渡した。 「ダームエルにしかできないことを命じます」 「ローゼマイン様」 「エーレンフェストにおいて何よりも大事なわたくしの家族を守ってください。 前神殿長と繋がりがあったゲオルギーネ様達はわたくしの家族や家の場所を知っている可能性があります。 そして、わたくしに対する一番大きな攻撃が家族に対するものだと察しているかもしれません」 神殿に入った経緯、シャルロッテの救助、下町との繋がり、専属達の出世、流行の広がりなどの情報を丁寧に仕入れていけば、わたしの大事な物は明確だ。 エーレンフェストの神殿に忍び込んで礎を得ようと企んでいる彼女達にとって、一番邪魔なのは対外的に未だ神殿長であるわたしだろう。 効率良くわたしを排除したり、抵抗できなくなるようにしたりすることを考えると、人質を取るのはかなり有効だ。 「あの頃を知っているダームエルにしか頼めないのです。 お願いします」 「かしこまりました。 ……フェルディナンド様ともお約束しましたから」 「フェルディナンド様と?」 わたしが聞き返すと、ダームエルが遠くを見るようにアーレンスバッハの方へ視線を向ける。 「青色巫女見習いであった頃のローゼマイン様を直接知っている者が私だけになるから、とアーレンスバッハへ出発する前に言われました」 養父様もお父様もわたしが平民だったことを知ってはいるが、青色巫女見習い時代は少し顔を合わせただけで日常的に接したわけではない。 たとえ報告されていたとしても、どのように家族と接していたのか見知っているわけではないのだ。 「だから、ローゼマイン様の心を守ってほしい、と命じられました。 情報を掻き集めたハルトムートが余計なことをしでかさぬように見張れ、とも……。 本当にフェルディナンド様は無茶ぶりが多いですよ」 ダームエルが苦笑しつつ、わたしを少し見下ろす。 顔が近くなったな、と思った。 あの頃と今では全く視線の位置が違う。 ……最初はダームエルのお腹の辺りにわたしの頭があって、跪いてくれなきゃ視線が全然合わなかったんだよね。 そんなことを考えていたわたしの前にダームエルが跪いた。 今はもう視線を合わせるどころか、茶色の頭しか見えない。 「ここに留まっているのが安全のためには一番だと護衛騎士ならば口にすべきでしょうが……。 いってらっしゃいませ、ローゼマイン様。 御自分の心を守るためにも望みを偽らずに進み、必ずフェルディナンド様をお救いください。 数多の神々の御加護がありますように」 「ありがとう存じます、ダームエル。 貴方はわたくしにとって、やはり一番の騎士です」 盗聴防止の魔術具を返して、ダームエルが去っていく。 コルネリウスが訝しそうにわたしを見た。 「ダームエルはどこへ行ったのですか?」 「わたくしの大事な物を守りに、ですよ。 ダームエルは護衛騎士ですもの。 それより、仮眠をとる順番は決まりましたか?」 わたしは騎士達のローテーションを確認し、一緒に図書館へ向かった。 「ローゼマイン様、フェルディナンド様は……」 先に到着していた側近達から話を聞いたのだろう。 ラザファムが出迎えの挨拶を終えると同時に、足早にわたしのところへやってくる。 名捧げをしている主が遠くの土地で瀕死状態だと聞かされれば不安にもなるだろう。 「不安な気持ちはわかります、ラザファム。 けれど、領主一族の許可はもぎ取りましたし、ダンケルフェルガーにも協力を取り付けました。 ユストクスとエックハルト兄様も六の鐘が鳴る頃には貴族院経由で戻ってくると思われます」 わたしはハルトムート達がいるだろう工房へ向かって進みながらラザファムに進捗を尋ねていく。 「ユストクスとエックハルト兄様が仮眠をとるための客間の準備はできましたか? ここで夕食を摂る人数が大幅に増えましたが、食材は足りましたか? 料理人達は到着しましたか?」 わたしが次々とやるべきことを述べていくと、ラザファムはそれに明確な答えを返してくる。 順調に準備は進んでいるようだ。 「二人が到着するまでに準備を終えたいと思っています。 夕食を摂りながらアーレンスバッハの状況を聞かなければなりませんし、追加する物が必要であれば準備する余裕がいりますから」 「かしこまりました」 「それから、できれば二人の着替えが残っていないか、二人の実家に連絡してみてくださいませ」 側近達が忙しい中、わたしがうろうろすると邪魔にしかならない。 わたしは自室で自分にできることをする。 まず、イルクナーのブリギッテにオルドナンツを飛ばした。 フェルディナンドを追い込んだ今がチャンスとばかりにアーレンスバッハが侵攻してくる可能性が高いこと、ゲオルギーネは隠密行動を取っている可能性が高いこと、銀の布の情報も伝え、平民達から広く情報を集めるようにお願いし、周辺のギーベ達と連携を取るように告げる。 「おじい様が率いる騎士団はいつでも出陣の準備ができています。 何か異変を感じたら連絡をください」 「フロレンツィア様からも各ギーベに警戒するように連絡がございましたが、それ以上に詳細で貴重な情報、ありがとう存じます。 周辺のギーベはもちろん、平民達にも知らせて警戒に当たります」 ギーベ達に詳細な情報が届いていないことがわかったので、わたしは養母様に向けて「もっと詳細な情報を流し、ギーベ・ゲルラッハやギーベ・ガルドゥーンにはギーベの騎士達に守りを固めてもらえるようにお願いしてくださいませ」とオルドナンツを飛ばした。 オルドナンツを飛ばし終えると、隠し部屋でメスティオノーラの書を使ってアーレンスバッハの地図を検索してみる。 国境門と神殿の位置を知っておきたいと思ったのだ。 検索の結果、街のエントヴィッケルンに使われた時の地図や見取り図があったため、神殿については詳しくわかった。 ……痛い思いをしたけど、手に入れてよかった。 めっちゃ役立ってる! 神に感謝を! 街の地図と神殿の見取図をクラリッサが作ってくれている魔紙にコピペして満足感に浸る。 わたしは地図を見て、くるくる回してみても現在地と目的地がよくわからないけれど、騎士の中にはきっと役立ててくれる人はいるはずだ。 このまま城の見取り図で魔力供給の間を確認したいと思ったが、城の見取図が出てこない。 よほどのことがなければ見直さないため、城全体の見取り図を見るような機会はエントヴィッケルンを行う時くらいしかないのだ。 フェルディナンドの持っているメスティオノーラの書に入っているのだろうか。 「あうぅぅ、肝心なところがわからないよ!」 嘆いても見つからないものは仕方がない。 ユストクスやエックハルト兄様が知っているはずなので大丈夫だろう。 気を取り直して、使い勝手の良さそうな魔法陣をコピペしていくことにする。 いくつかコピーしたところで呼び出しの魔術具が光ったので隠し部屋から出ると、ユーディットが「エーレンフェストに残るように言われました」としょんぼりしていた。 「アーレンスバッハへ向かうだけが護衛騎士の仕事ではありません。 エーレンフェストから動かせないわたくしの大事な者を守るのも護衛騎士の仕事です」 「それはそうですけれど……」 「ダームエルはわたくしの心を守るために、わたくしの大事な者を守ってくれると約束してくれました。 ユーディットもダームエルと共に神殿や下町を守ってください。 グーテンベルク達はこれからも印刷業を広げるために欠かせません。 ゲオルギーネ様を絶対に入れない。 そのくらいの強い気持ちで神殿を、それから、エーレンフェストを守ってくださいませ」 遠隔攻撃が得意で目が良いユーディットを神殿に配置して、銀の布では防ぎようがない虫爆弾などの魔術具を使ってもらえば、生粋の貴族育ちのゲオルギーネは怯むだろう。 「わかりました。 神殿の守りに就きます」 思いつくままに準備を進めていると、六の鐘が鳴り、それからしばらくたってユストクスとエックハルト兄様がやってきた。 「ユストクス、エックハルト兄様!」 「……ひ、姫様?」 わたしを見て、ユストクスが言葉を失ったように立ち尽くす。 エックハルト兄様は「ローゼマインか?」と確認するように呟いた後、すぐに今の準備状況を確認してきた。 「今エックハルト兄様が言った物は全て準備できています。 ダンケルフェルガーとの協力も取り付けましたし、今夜、フェルディナンド様の救出に出発する予定です」 「素晴らしい手腕だ。 さすがフェルディナンド様の教育を受けた私の妹だな」 エックハルト兄様の目に素直な称賛と希望の光があるのを見つけて、わたしはとても嬉しくなった。 エックハルト兄様が褒めてくれるということは、わたしがとてもフェルディナンド様の役に立っているということと同義だ。 「エックハルト、何故これほどに変わられた姫様と普通に話ができるのですか?」 「外見がどのように変わろうとも、フェルディナンド様を大事にする妹という部分が変わっていなければ別に問題ないではないか」 エックハルト兄様は何ということもなさそうな顔でそう言いながらラザファムのところへすたすたと歩いていく。 全く動揺を見せないエックハルト兄様と違い、ユストクスは情報を得たいけれど、緊急事態の今、どこまで聞いても良いのかわからないという感じで小刻みに体を動かし始めた。 目が好奇心で輝いている。 「姫様の身に一体何があったのですか? これほどまでに短時間で成長し、お美しく姿が変わっているなど、今までに聞いたことがありません」 ユストクスがじりじりとわたしに近付いてくる。 それを阻止するようにハルトムートが「よくぞ聞いてくれました」と言いながら、わたしとユストクスの間に滑り込んできた。 こちらもまた楽しそうに橙の目を輝かせているのがちょっと怖い。 「神々に愛されたローゼマイン様以外にこのような奇跡を持つ者がいるはずありません。 これは育成の神 アーンヴァックスによる神の奇跡! いかにローゼマイン様が成長されたか。 その素晴らしい奇跡と感動をどうか私に説明させてください」 「ユストクスが飽きるまでですからね」 神様関係の修飾過多でわかりにくく、何度も似たような褒め言葉がループするハルトムートの言葉など、いくらユストクスでもすぐに飽きるだろう。 事実、わたしの側近達は「もう聞きました」と受け流している。 ……皆が受け流すせいでハルトムートがムキになって「この表現は初めてだ」と無駄に褒め言葉が増えたんだけどね。 「夕食を摂りながら情報交換いたしましょう。 時間がありません、エックハルト兄様。 レティーツィア様はどうされていらっしゃいますか?」 食堂へ向かいながら尋ねると、エックハルト兄様は意外そうに眉を上げてわたしを見下ろし、「さて? 私は知らぬ」と真顔で言った。 あまりにも簡潔過ぎる回答にわたしは思わず頭を抱える。 「え? え? レティーツィア様がフェルディナンド様の伝言を二人に持って行ったのですよね? 保護とか何か……」 「何を言っているのだ、ローゼマイン? 彼女には彼女の護衛騎士がいる。 名捧げ石を返され、フェルディナンド様の命がかかった命令が下っている時に、何故私が彼女を気にかけねばならぬ?」 ……それはそうかもしれないけど。

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本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~

本好き オティーリエ

わたしはアウブの執務室を出て、コルネリウス兄様とハルトムートとリーゼレータの三人と合流する。 お嬢様らしく優雅に素早く歩くのはまだ少々心許ないので、騎獣を出して乗り込んだ。 「ハルトムート、今から騎士達をわたくしの部屋に集めてください」 「アーレンスバッハへ侵攻するための話し合いでしょう? すでに集まるように声をかけています。 何を置いても急ぐようにと伝えたので、神殿に残してきた者もそろそろ集まる頃合いでしょう。 ローデリヒとフィリーネには現状維持で残ってもらっています」 涼しい顔でさらりと言われたことに驚いて、わたしは思わずハルトムートを二度見した。 「……た、大変結構です」 「ローゼマイン様のお役に立てて何よりです」 ハルトムートの言葉通り、自室に戻ると護衛騎士が集まって待っていた。 わたしはくるりと皆を見回す。 神殿の守りを任されていたはずの騎士達はよほど急かされたのか、まだ息が整っていないように見える。 「あの、ローゼマイン様。 ハルトムートから緊急の用と伺いましたが……」 「本当に緊急で唐突なのですが、今夜、アーレンスバッハの礎を盗りに行きます」 「……はい?」 午前と午後でかなり状況が変わってしまったのだ。 これはわたしにも予測できなかったことだから仕方がないと思う。 会議に出ていなかったため全く現状を知らない側近達に、フェルディナンドの現状、エーレンフェストへの侵攻の可能性、アーレンスバッハへ向かうこと、ダンケルフェルガーの助力があること、ユストクス達が合流することなどをざっと説明した。 緊急事態ということが嫌でも伝わるのだろう。 皆の顔が緊張に強張っていくのがわかる。 わたしはそんな皆に指示を出し始めた。 出発まで本当に時間がない。 「まず、側仕えの配置ですが……。 リーゼレータとグレーティアは図書館へ移動、城に残るのはオティーリエとベルティルデの二人です。 オティーリエ達は最初にわたくしの騎獣用の衣装や靴、この部屋にある魔石や魔術具等を準備してください。 それから、この後は図書館で夕食や仮眠をとる予定なので専属料理人を移動させる手配もお願いします」 「ローゼマイン様、何人が図書館で夕食を摂るのでしょう? 食料品に関しても手配が必要だと思われますが?」 オティーリエの言葉にわたしが側近達を見回して数え始めると、リーゼレータがそれを制した。 「オティーリエ、城の分をできるだけ移動させてくださいませ。 足りなければわたくしからエルヴィーラ様に連絡を入れます。 エックハルト様がお戻りだそうなので、ご協力いただけるでしょう」 オティーリエとリーゼレータの間でさっさと仕事の分担が決まっていく。 「わたくし達が出発した後、城に残る二人はゲオルギーネ様の侵略に備えて情報収集を怠らず、養母様、シャルロッテ、ブリュンヒルデと連携を取ってください」 「かしこまりました」 オティーリエは「本当に急ですね」と微笑みながら動き始めたけれど、わたしの無茶ぶりに全く慣れていないベルティルデは目を白黒させながらオティーリエの後について行く。 「では、ローゼマイン様。 わたくしとグレーティアは図書館へ移動してラザファムと共に受け入れ準備をすればよろしいでしょうか?」 「えぇ。 リーゼレータは察しが良いですね。 エックハルト兄様とユストクスにも夕食と仮眠をとってもらいますから、よろしくお願いします」 「かしこまりました。 時間がないので、お先に失礼いたしますが、図書館へ移動する際は護衛騎士を必ずお連れくださいませ」 リーゼレータは「次々と側近達に命令を下し、最終的に一人で動き回るようなことはいけませんよ」とわたしに注意すると、グレーティアを連れて退室していく。 「ハルトムートとクラリッサは図書館でこれまでに作った魔術具や回復薬などを皆に配布し、その後は……」 「出陣の準備は整っています。 ご安心ください。 配布が終われば、ハルトムートと交代で仮眠します」 クラリッサが張り切ってそう言った。 ダンケルフェルガー出身の武よりの文官であるクラリッサはともかく、ハルトムートが当たり前のように出陣のメンバーに入っていることにわたしは驚き、ハルトムートを見つめる。 「騎獣に大量に積み込んだ魔術具や薬の管理をローゼマイン様が行うのは難しいでしょう。 ダンケルフェルガーに配るのでしたら尚更です。 ローゼマイン様が救出に集中できるように私も連れていってください」 「……ハルトムートの申し出は助かりますが、喜々として文官が行くところではないと思うのですけれど」 ディッターの経験がないのに大丈夫なのだろうか、とわたしが腕組みをして首を傾げると、ハルトムートはクッと小さく笑った。 「おや、領主候補生であり、文官であるローゼマイン様のお言葉とは思えませんね」 「うぐぅ……。 今回は速さを重視するのですから、遅いと放っていきますからね!」 反論できない悔しさにそう言うと、ハルトムートは余裕の笑みを浮かべた。 「ローゼマイン様の騎獣に同乗し、魔術具を管理するので問題ありません」 「お任せくださいませ。 ダンケルフェルガーからエーレンフェストまで一気に駆け抜けたわたくしの力を存分に発揮する時ですね」 ……のおおぉぉ! 嫌な実績が! できるならば解毒薬の一つでも増やしたいと言うので、ハルトムートとクラリッサにはもう好きなようにやらせることに決めて図書館へ送り出す。 わたしはアーレンスバッハへ連れていくことになる護衛騎士達を見回した。 「未成年のラウレンツには選択権があります。 わたくしと共に来るか、残るのか、選んでください」 「ローゼマイン様に名を捧げているのですから、今更置いて行くとはおっしゃらないでください」 苦笑気味にラウレンツがそう言うと、対抗心を燃やしたようにユーディットが「わたくしもお留守番は嫌です」と手を挙げた。 「ユーディット、緊急事態だからこそ、お父様の許可が必要です。 許可もなく他領との戦いの場に連れ出すことはできません」 「そんなぁ! うぅっ……。 オルドナンツで許可を得てきます!」 涙目になったユーディットが駆け出していくと、わたしはその場にいる騎士達にローテーションを組むように命じる。 「アーレンスバッハへ赴く騎士達は交代で寮へ行き、夕食と仮眠を取り、準備を整えてください。 エーレンフェストに残す騎士はダームエルだけです」 皆が目を軽く見張ってダームエルを見て、その後、話し合いのために集まる。 わたしは一人残ったダームエルのマントを軽く引っ張り、盗聴防止の魔術具を手渡した。 「ダームエルにしかできないことを命じます」 「ローゼマイン様」 「エーレンフェストにおいて何よりも大事なわたくしの家族を守ってください。 前神殿長と繋がりがあったゲオルギーネ様達はわたくしの家族や家の場所を知っている可能性があります。 そして、わたくしに対する一番大きな攻撃が家族に対するものだと察しているかもしれません」 神殿に入った経緯、シャルロッテの救助、下町との繋がり、専属達の出世、流行の広がりなどの情報を丁寧に仕入れていけば、わたしの大事な物は明確だ。 エーレンフェストの神殿に忍び込んで礎を得ようと企んでいる彼女達にとって、一番邪魔なのは対外的に未だ神殿長であるわたしだろう。 効率良くわたしを排除したり、抵抗できなくなるようにしたりすることを考えると、人質を取るのはかなり有効だ。 「あの頃を知っているダームエルにしか頼めないのです。 お願いします」 「かしこまりました。 ……フェルディナンド様ともお約束しましたから」 「フェルディナンド様と?」 わたしが聞き返すと、ダームエルが遠くを見るようにアーレンスバッハの方へ視線を向ける。 「青色巫女見習いであった頃のローゼマイン様を直接知っている者が私だけになるから、とアーレンスバッハへ出発する前に言われました」 養父様もお父様もわたしが平民だったことを知ってはいるが、青色巫女見習い時代は少し顔を合わせただけで日常的に接したわけではない。 たとえ報告されていたとしても、どのように家族と接していたのか見知っているわけではないのだ。 「だから、ローゼマイン様の心を守ってほしい、と命じられました。 情報を掻き集めたハルトムートが余計なことをしでかさぬように見張れ、とも……。 本当にフェルディナンド様は無茶ぶりが多いですよ」 ダームエルが苦笑しつつ、わたしを少し見下ろす。 顔が近くなったな、と思った。 あの頃と今では全く視線の位置が違う。 ……最初はダームエルのお腹の辺りにわたしの頭があって、跪いてくれなきゃ視線が全然合わなかったんだよね。 そんなことを考えていたわたしの前にダームエルが跪いた。 今はもう視線を合わせるどころか、茶色の頭しか見えない。 「ここに留まっているのが安全のためには一番だと護衛騎士ならば口にすべきでしょうが……。 いってらっしゃいませ、ローゼマイン様。 御自分の心を守るためにも望みを偽らずに進み、必ずフェルディナンド様をお救いください。 数多の神々の御加護がありますように」 「ありがとう存じます、ダームエル。 貴方はわたくしにとって、やはり一番の騎士です」 盗聴防止の魔術具を返して、ダームエルが去っていく。 コルネリウスが訝しそうにわたしを見た。 「ダームエルはどこへ行ったのですか?」 「わたくしの大事な物を守りに、ですよ。 ダームエルは護衛騎士ですもの。 それより、仮眠をとる順番は決まりましたか?」 わたしは騎士達のローテーションを確認し、一緒に図書館へ向かった。 「ローゼマイン様、フェルディナンド様は……」 先に到着していた側近達から話を聞いたのだろう。 ラザファムが出迎えの挨拶を終えると同時に、足早にわたしのところへやってくる。 名捧げをしている主が遠くの土地で瀕死状態だと聞かされれば不安にもなるだろう。 「不安な気持ちはわかります、ラザファム。 けれど、領主一族の許可はもぎ取りましたし、ダンケルフェルガーにも協力を取り付けました。 ユストクスとエックハルト兄様も六の鐘が鳴る頃には貴族院経由で戻ってくると思われます」 わたしはハルトムート達がいるだろう工房へ向かって進みながらラザファムに進捗を尋ねていく。 「ユストクスとエックハルト兄様が仮眠をとるための客間の準備はできましたか? ここで夕食を摂る人数が大幅に増えましたが、食材は足りましたか? 料理人達は到着しましたか?」 わたしが次々とやるべきことを述べていくと、ラザファムはそれに明確な答えを返してくる。 順調に準備は進んでいるようだ。 「二人が到着するまでに準備を終えたいと思っています。 夕食を摂りながらアーレンスバッハの状況を聞かなければなりませんし、追加する物が必要であれば準備する余裕がいりますから」 「かしこまりました」 「それから、できれば二人の着替えが残っていないか、二人の実家に連絡してみてくださいませ」 側近達が忙しい中、わたしがうろうろすると邪魔にしかならない。 わたしは自室で自分にできることをする。 まず、イルクナーのブリギッテにオルドナンツを飛ばした。 フェルディナンドを追い込んだ今がチャンスとばかりにアーレンスバッハが侵攻してくる可能性が高いこと、ゲオルギーネは隠密行動を取っている可能性が高いこと、銀の布の情報も伝え、平民達から広く情報を集めるようにお願いし、周辺のギーベ達と連携を取るように告げる。 「おじい様が率いる騎士団はいつでも出陣の準備ができています。 何か異変を感じたら連絡をください」 「フロレンツィア様からも各ギーベに警戒するように連絡がございましたが、それ以上に詳細で貴重な情報、ありがとう存じます。 周辺のギーベはもちろん、平民達にも知らせて警戒に当たります」 ギーベ達に詳細な情報が届いていないことがわかったので、わたしは養母様に向けて「もっと詳細な情報を流し、ギーベ・ゲルラッハやギーベ・ガルドゥーンにはギーベの騎士達に守りを固めてもらえるようにお願いしてくださいませ」とオルドナンツを飛ばした。 オルドナンツを飛ばし終えると、隠し部屋でメスティオノーラの書を使ってアーレンスバッハの地図を検索してみる。 国境門と神殿の位置を知っておきたいと思ったのだ。 検索の結果、街のエントヴィッケルンに使われた時の地図や見取り図があったため、神殿については詳しくわかった。 ……痛い思いをしたけど、手に入れてよかった。 めっちゃ役立ってる! 神に感謝を! 街の地図と神殿の見取図をクラリッサが作ってくれている魔紙にコピペして満足感に浸る。 わたしは地図を見て、くるくる回してみても現在地と目的地がよくわからないけれど、騎士の中にはきっと役立ててくれる人はいるはずだ。 このまま城の見取り図で魔力供給の間を確認したいと思ったが、城の見取図が出てこない。 よほどのことがなければ見直さないため、城全体の見取り図を見るような機会はエントヴィッケルンを行う時くらいしかないのだ。 フェルディナンドの持っているメスティオノーラの書に入っているのだろうか。 「あうぅぅ、肝心なところがわからないよ!」 嘆いても見つからないものは仕方がない。 ユストクスやエックハルト兄様が知っているはずなので大丈夫だろう。 気を取り直して、使い勝手の良さそうな魔法陣をコピペしていくことにする。 いくつかコピーしたところで呼び出しの魔術具が光ったので隠し部屋から出ると、ユーディットが「エーレンフェストに残るように言われました」としょんぼりしていた。 「アーレンスバッハへ向かうだけが護衛騎士の仕事ではありません。 エーレンフェストから動かせないわたくしの大事な者を守るのも護衛騎士の仕事です」 「それはそうですけれど……」 「ダームエルはわたくしの心を守るために、わたくしの大事な者を守ってくれると約束してくれました。 ユーディットもダームエルと共に神殿や下町を守ってください。 グーテンベルク達はこれからも印刷業を広げるために欠かせません。 ゲオルギーネ様を絶対に入れない。 そのくらいの強い気持ちで神殿を、それから、エーレンフェストを守ってくださいませ」 遠隔攻撃が得意で目が良いユーディットを神殿に配置して、銀の布では防ぎようがない虫爆弾などの魔術具を使ってもらえば、生粋の貴族育ちのゲオルギーネは怯むだろう。 「わかりました。 神殿の守りに就きます」 思いつくままに準備を進めていると、六の鐘が鳴り、それからしばらくたってユストクスとエックハルト兄様がやってきた。 「ユストクス、エックハルト兄様!」 「……ひ、姫様?」 わたしを見て、ユストクスが言葉を失ったように立ち尽くす。 エックハルト兄様は「ローゼマインか?」と確認するように呟いた後、すぐに今の準備状況を確認してきた。 「今エックハルト兄様が言った物は全て準備できています。 ダンケルフェルガーとの協力も取り付けましたし、今夜、フェルディナンド様の救出に出発する予定です」 「素晴らしい手腕だ。 さすがフェルディナンド様の教育を受けた私の妹だな」 エックハルト兄様の目に素直な称賛と希望の光があるのを見つけて、わたしはとても嬉しくなった。 エックハルト兄様が褒めてくれるということは、わたしがとてもフェルディナンド様の役に立っているということと同義だ。 「エックハルト、何故これほどに変わられた姫様と普通に話ができるのですか?」 「外見がどのように変わろうとも、フェルディナンド様を大事にする妹という部分が変わっていなければ別に問題ないではないか」 エックハルト兄様は何ということもなさそうな顔でそう言いながらラザファムのところへすたすたと歩いていく。 全く動揺を見せないエックハルト兄様と違い、ユストクスは情報を得たいけれど、緊急事態の今、どこまで聞いても良いのかわからないという感じで小刻みに体を動かし始めた。 目が好奇心で輝いている。 「姫様の身に一体何があったのですか? これほどまでに短時間で成長し、お美しく姿が変わっているなど、今までに聞いたことがありません」 ユストクスがじりじりとわたしに近付いてくる。 それを阻止するようにハルトムートが「よくぞ聞いてくれました」と言いながら、わたしとユストクスの間に滑り込んできた。 こちらもまた楽しそうに橙の目を輝かせているのがちょっと怖い。 「神々に愛されたローゼマイン様以外にこのような奇跡を持つ者がいるはずありません。 これは育成の神 アーンヴァックスによる神の奇跡! いかにローゼマイン様が成長されたか。 その素晴らしい奇跡と感動をどうか私に説明させてください」 「ユストクスが飽きるまでですからね」 神様関係の修飾過多でわかりにくく、何度も似たような褒め言葉がループするハルトムートの言葉など、いくらユストクスでもすぐに飽きるだろう。 事実、わたしの側近達は「もう聞きました」と受け流している。 ……皆が受け流すせいでハルトムートがムキになって「この表現は初めてだ」と無駄に褒め言葉が増えたんだけどね。 「夕食を摂りながら情報交換いたしましょう。 時間がありません、エックハルト兄様。 レティーツィア様はどうされていらっしゃいますか?」 食堂へ向かいながら尋ねると、エックハルト兄様は意外そうに眉を上げてわたしを見下ろし、「さて? 私は知らぬ」と真顔で言った。 あまりにも簡潔過ぎる回答にわたしは思わず頭を抱える。 「え? え? レティーツィア様がフェルディナンド様の伝言を二人に持って行ったのですよね? 保護とか何か……」 「何を言っているのだ、ローゼマイン? 彼女には彼女の護衛騎士がいる。 名捧げ石を返され、フェルディナンド様の命がかかった命令が下っている時に、何故私が彼女を気にかけねばならぬ?」 ……それはそうかもしれないけど。

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